孤蓬流篆刻教室1
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初めて篆刻をする人、あるいは篆刻ってどんなふうにするんだろって興味と関心のある人のための教室です。
今回初めて印稿の段階と布字が終わった時点でパソコン(古いMac)を使ってみました。したがって、これから紹介する篆刻制作は決して正統的(?)な方法ではないことをお断りしておきます。

篆刻の用具:篆刻するにはどんな用具が要るのか。私の使っている用具を紹介しておきます。

1、二面硯:黒は時々きれいに洗うが、朱のほうは滅多に洗いません。2、墨と朱墨:朱墨はちょっと高価でも水銀を原料にした本物を使いたいです。持った時の重さで分かります。3、細筆2本:私は写巻を使っています。4、印刀(鉄筆):丸い印刀ももっていますが、ほとんどこれ1本。5、印材:普通は数百円の寿山石。6、印泥:「美麗」を使っています。7、印床:小さな印はこれを使ったほうが楽です。昔はすべて左手に握って彫っていました。8、印矩:印を押すときに使います。9、鏡:落款印などはもっと小さな鏡を使います。10、ブラシ:彫った石屑を払うとき使います。よく払わないと印泥を駄目にしてしまいます。
そのほか参考図書類や時にはバレンなども使います。

制作過程
1、釈文を決める
2、字体を考え、印稿を作る
3、印材を整える
4、布字をする
5、印を刻す
6、補刀
7、作品を仕上げる 

1、釈文を決める

「禅林句集」や「墨場必携」を見ながら4文字を中心に字画などを考慮し、布字したときにまとまりやすい字で構成されている文句を選びます。時に3文字や5〜6文字の句を選んだりします。しかしこの作業なかなか適当なものが見つからず、結構難しいんです。今回は「安詳恭敬」にしました。意味はあまり面白くないんですが・・

2、字体を考え、印稿を作る

「書道大字典」「朝陽字鑑」「篆刻字典」などでいろいろな字体拾い出だしてみる→Pic。大体同じ時代の字体を組み合わせる→Picほうが無難。字体が決まったら布字をする。ここで、今回はパソコンを使いました。書いた4文字をスキャナで取り込み、画像処理ソフトでレイヤーを使いながら配置し、実際の印のように文字は白、地は赤に変え、ツールを使って文字を整えました

修正した画像をプリントアウトします。また、それを反転させたものもプリントしました。後でこれらを見ながら石に布字していきます。(通常は小さな印と同じように厚紙に墨をぬり、そこに印材と同じ大きさの型をとり、墨と朱で修正しながら印稿を作っていきます。→Pic

3、印材を整える

今回は8cm角の印材を使うことにしました。展覧会作品には手ごろな大きさだし、手に入りやすいです。でも実際はもう一回り小さいほうが楽なんですがね。

チュウがついたままでは重くて彫るにも押印するにも扱いにくいので3cmぐらいの厚さに金鋸で切ることにしました。こうすると切った印材の裏表を使えるのでいいですね。


切った印材はガラスの上に水ペーパーを置き平らになるよう磨きます。80番から始めて最後は少なくても400番ぐらいで仕上げてください。小さい印は800〜1200番くらいで仕上げます。印面を滑らかにした方が押印のとき印泥が紙によく移るような気がします。

平らになったかどうかはガラス(鏡)の上に乗せ横から見たら分かります。大きな印はそれほど神経質になることはありませんが、落款印のなどは、しっかり平らになって、四隅がぴったりガラス面についていることを確かめたほうがいいですよ。

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